CAD/CAMは経営のツール
〜データの一気通貫でものづくりを変える〜

コダマコーポレーション株式会社 代表取締役 社長小玉 博幸

6. 3次元 CAD/CAMシステム「TOPsolidシリーズ」との出会い

近い将来、コダマのビジネスにはPCベースの3次元CAD/CAMシステムが必要になるだろうと考えて、1994年ごろから頻繁に海外の展示会へ足を運んだ。
当時業界で注目され始めていたSolidWorks、Solid EdgeやAutoCAD Mechanical Desktopなどのシステムを購入して比較検討した。しかし、そのいずれもが私の考えた「データの一気通貫」を実現できるシステムではなかった。なぜなら、これらのCADシステムは「CADはCAD/CAMはCAM」という別々のシステムであり、連携していなかったのだ。「どうすれば私の考えるデータの一気通貫を実現できるのだろうか」と当時は悩みぬいた。

そのような時期の1996年2月に、フランスで開催されたMICADの展示会で運命的な出会いをしたのが3次元ソリッドCADシステム「TOPsolid」であった。このシステムは「データの一気通貫」をコンセプトに開発された「ものづくりのための3次元ソリッドCADシステム」であった。私は、このシステムを使って日本のものづくりを変えたいと真剣に考えた。そして、この製品に明日のコダマを托そうと決めた。その年の4月、私どもはフランスのMisslerSoftware社とTOPsolidシリーズの日本市場での独占販売権を取得するために契約を結んだ。

7. TOPsolidシリーズを開発する本物の技術集団 Missler Software社

TOPsolidシリーズはフランスのMissler Software社で開発されている(図1)。
この会社は、1988年にUNIXワークステーションで動作する3次元CADしかなかった時代に、PCで動作する3次元ソリッドCADシステム「TOPsolid」を開発した。
図1 Missler Software社の外観
当時、Missler社は社員12名の小所帯で、TOPsolidは主にフランスの国内で販売されていた。1992年に、このMissler Software社に金型設計支援CADを開発している会社、板金設計支援CADを開発している会社と3軸用CAMを開発している会社が加わって、CADとCAMとを統合したものづくりのための新たなCAD/CAMシステムの開発に着手し、1996年に新生3次元ソリッドCADシステム「TOPsolid」を作りあげた。

それ以降、このTOPsolidをコアに、1998年に3次元プラスチック金型設計支援システム「TOPmold」を、1999年に3次元ミーリングCAMシステム「TOPcam」を、2001年に有限要素法解析システム「TOPcastor」を、2002年に3次元電極設計支援システム「TOPelectrode」を、2004年にワイヤカットCAMシステム「TOPwire」などの関連のアプリケーションを順次発売していった。
さらに2005年には、TOPcam複合加工オプション「TOPcamターニングモジュール」と順送プレス金型設計支援システム「TOPprogress」、2007年にはTOPcam同時4/5軸加工オプション「TOPcam 4/5軸モジュール」も発売された。 その上、2009年にはすべてのTOPsolidシリーズのアプリケーションと連携したPDM「TOPpdm」も発売された(図2)。
図2 TOPsolidシリーズのアプリケーション
これらのアプリケーションはすべてが一つのエンジニアリング・データベースに完全に統合されているため、データ変換を行なうことなく、設計データを加工現場で円滑に活用することができるのだ。まさに、このシステムこそ私の求めた「3次元でのデータの一気通貫」を可能にするCAD/CAMシステムだったのである。

CAD/CAMの業界でMissler Software社のように一つの会社でCADをコアにこれだけ多くの関連ソフトウェアを開発している企業は、世界広しと言えどもMissler Softwre社以外には存在しないと考える。本当に誇らしいことである。参考までにお話しするが、私どもがTOPsolidシリーズを日本市場で発売した 1996年当時、TOPsolidシリーズは世界でフランス、イタリア、ドイツの3か国だけで販売されていた。
日本はそれらに続く 4か国目であった。現在、全世界 52か国で販売されている。
世界的なCAD/CAMの調査機関の統計では、Missler Software社はパラメトリックテクノロジー社に次いで世界で5番目のCAD/CAMベンダーと言われている。

8. コダマのソリューションビジネスにベストマッチしたTOPsolidシリーズ

コダマは「経営全般に大きな成果をもたらす経営のツールとしてのCAD/CAM/CAE」を提案している。

  • 設計から製造までの全工程をカバーした無駄のないシステムの構築。
  • 手戻りのないものづくりの実現でミスや無駄を徹底排除。
  • 業務プロセスやフローの改善で生産性を大幅に向上。
  • 業務の可視化で人材の早期育成。

このコダマの提案を具現化できるツールが「TOPsolidシリーズ」である。

TOPsolidシリーズは、2次元と3次元が完全に統合したCADシステム「TOPsolid」を核に、設計から製造までの「データの一気通貫」の実現で経営的なソリューションを提供できる製造業向けCAD/CAMシステムなのである。通常、CADデータを変換してほかのCAD/CAMで使用する場合、形状はおおむね正しく伝えることができる。しかし、公差などの技術情報や加工情報を渡すことができない。

TOPsolidシリーズでは形状だけでなく設計で付加された技術情報や加工情報を下流の工程でフル活用することができるのだ。たとえば、TOPsolidでボルトを配置すると、ドリル穴、座ぐり穴、タップ穴など、部品にあらかじめ定義してある穴が配置先の形状に作成される。形状には穴フィーチャが付加されると同時に、あらかじめ定義した加工精度も同時に付加される。TOPcamでそのデータを使って穴加工を行なう場合には、穴フィーチャと加工精度を認識し、TOPcam上で登録されている加工方法と条件を照合し、自動的に工具パスを作成できる。
このようにTOPsolidシリーズは、データ変換による非効率をなくし、生産性の飛躍的な向上を実現する。

9. TOPsolidシリーズとコダマの
ソリューションビジネスのあゆみ=TOPsolidシリーズの布教活動

この製品を日本市場で紹介を始めて14年が経つ。保守的でブランド志向の強い日本市場で名もないコダマコーポレーションが単独でTOPsolidシリーズの布教活動を行なってきた。ブランドのない製品を市場で認知させ、拡販をしていくことの大変さは想像以上のものがあった。

しかし、おかげさまで多くのお客様に支持され、日本では3,500社以上で10,000シートが使われるまでになった。しかし、発売当時のTOPsolidシリーズの品質は低かった。コンセプトの「データの一気通貫」はすばらしいものの、その詳細の機能や操作性は決して日本のものづくり企業の皆さまを満足させるものではなかったのである。日本のユーザーから寄せられた機能改善のリクエストを着実に開発し、製品を成熟できたことは、Missler Software社との信頼関係、協力関係を築き上げられたからだと思う。「フランス人は気まぐれで人情味がないので、日本人とは考え方が合わないから大変だったでしょう」とよく言われるが、私はフランス人ほど義理人情に厚く、信頼関係を築ける外国人はいないと考えている。彼らだったからこそ一緒になってここまでやってこられたと今では思う。

先日も日本のトップクラスの大手企業の方に「2000年導入当時はどうなることか大変心配したが、本当にすばらしい製品に成長しましたね。主要なCAD/CAMベンダーは日本市場のリクエストなどほとんど対応しないと聞きますが、社内で最初に導入したTOPsolidシリーズが成長し、『ものづくりのCAD/CAM』として認知されて広くいろいろな部署で使われるようになったことを誇らしく思います」と仰っていただいた。本当に、Missler Software社の人たちと出会いTOPsolidシリーズ製品を取り扱えたことは奇跡であり、誇りでもある。

10. TOPsolidシリーズによる設計から製造までの
データの一気通貫による生産性の向上=手戻りのないものづくりの実現

現在、多くの製造業で3次元CAD/CAMシステムが導入されている。しかし、残念なことにそれらのシステムが「ものづくりをトータルで支援し経営的な効果をもたらすようなシステム」として構築・運用されている企業はきわめて少数に過ぎない。ほとんどの企業では、担当者や担当部署がみずからの領域の課題解決のみを図ろうとシステムを選定・導入する。その結果、CADとCAMとをうまく連携させられず、設計変更のたびに多大な労力と時間をかけて後処理をしなければならなくなっている。

また、NC工作機械ごとにCAMシステムが異なり、利用できる担当者が限られている。このように、ものづくりの全体から見れば、導入されているシステムが、部分最適化のためのツールでしかなく、その運用には多くの無理や無駄があることがわかる。つまり、CAD/CAMが経営のツールとして活用されていないのだ。
一方、設計から製造までの「データの一気通貫」を実現できるシステムを導入すれば、ものづくりに携わるあらゆる企業、部門、担当者、そして経営者が抱える問題が解決し、生産性が大幅に向上するのだ。それは手戻りのないものづくりの実現だ。「手戻りのないものづくりの実現」とは、たとえば、ある製品の設計が終わり、金型の設計も終盤に差しかかっていたとする。

そこで、製品設計での不具合が見つかり、金型の設計をやり直すことにする。TOPsolidシリーズ以外のCAD/CAMを使用していると、作成したすべてのモデリングデータ、組立図、部品図、部品表は修正しなければならない。さらに、修正後、金型を組み立ててみるとボルトと内部の部品がわずかに干渉していることがわかったとする。この場合は、図面の修正だけでなくNCデータと加工の手直しが発生する。これでは、納期をオーバーすることが確実だ。TOPsolidシリーズを使えば、製品モデルの変更が発生しても金型の設計を一からやり直すことにはならない。また、NCデータの手直しにも多くの時間を必要としないのである。

変更前の製品モデルを変更後のモデルに置き換えることで、キャビティとコアは自動的に新しく作り直される。型構造も部品同士の干渉チェックを行ない、変更もできる。ガイドピンの位置を移動することもできる。図面や部品表、ツールパス、加工指示書などは、設計変更によってすべて自動的に修正されるので、担当者はそれを確認するだけで済み、手戻りゼロを実現する。このようにTOPsolidシリーズは、各工程でのミスの発生率を最小化し、かつスピーディーなものづくり、つまりは手戻りのないものづくりの実現するシステムなのだ。私どものお客様には、このような「データの一気通貫」の実現で、ものづくりの設計・製作においては、実際に納期を1/5に短縮している事例もある。

11. 3次元設計の実状

消費者ニーズの多様化に伴い、多品種少量の高付加価値生産への移行や製品ライフサイクルの短縮が進んだことで、PLM、SCM、ERPなどのシステムが出現した。

しかし、ものづくり共通の課題であるQCDを解決するシステムの整備は十分に進められていないのが現実である。その中でも特にCADシステムにおいては、2次元から3次元に移行したにもかかわらず「CADはモデリングのツール」という考え方から脱却できず、解析用のモデリング作成など限定的な使用に終始し、フル3次元設計を実現している企業は多くない。また、日本のものづくりにおいては、図面が必須であるにもかかわらず、多くの3次元CADの製図機能は弱い。そのため、いまだに3次元CADでモデリングして既設の2次元CADで図面や部品表を作成したり、Microsoft Excelなどほかのシステムで積算表を作成したりなどばらばらのシステム運用で非効率な業務を行なっている企業も多く見られる。

これでは、CADとCAMとの連携など望むべくもない。ましてや、私どもが提唱する「データの一気通貫」によるものづくりの効率化など夢のまた夢である。よって、「うちはずいぶん前から3次元で設計をしているが、2次元設計に比べて設計時間が延びた」という声をお聞きすることになる。新興国がフル3次元設計の実現で生産性を上げていると聞くと「図面文化の日本のものづくりはどうなるのか」と本当に考えさせられる。

12. 3次元ソリッドCADシステムTOPsolidによる3次元設計の効率化

私どもは「TOPsolidシリーズによる設計から製造までのデータの一気通貫による生産性の向上=手戻りのないものづくりの実現」を提案している。また、同時に、「TOPsolidによるフル3次元設計の実現で設計業務での手戻りのない設計の実現」を提案している。

先ほども述べたが、多くの企業では3次元のCADを導入したが図面や部品表の作成には既設の2次元CADが手放せず、見積もり積算にはほかのシステムとばらばらなシステム運用で非効率な業務を行なっている。このようなシステム環境下では、設計の変更が発生する都度、大変な修正作業を余儀なくされる。設計の変更によって検討しなければならない部品やユニットの点数が多くなればなるほど、それだけ多くの時間が必要なり、作成する図面枚数も増える。

多くの無駄とロスが発生することになる。一方、TOPsolidを使えば、無駄やロスは最小限に抑えることができる。設計変更が発生しても設計を一からやり直す必要はない。
変更前の製品モデルを取り出して設計要件に従って変更個所を修正するだけで、部品間の干渉チェックが自動的行なわれる。また、解析のソフトウェアとも連動しているので解析のシミュレーションも簡単にできる。関連の組立図、部品図、部品表は瞬時に変更がかかる。何千点の部品からなる装置でも、3次元モデルを変更することで、関連の組立図や何千枚にも及ぶ詳細図面が瞬時に変更される。

間違いのない図面が作成されることになる。まさにマジックだ。この世界を体感したTOPsolidを使用されているお客様は決して2次元の設計には帰らないのである。
TOPsolid導入前後の生産性の比較表(図3)をご覧いただきたい。TOPsolidは2次元設計、ほかの3次元CADによる設計に比べて設計品質を早期に向上し、納期短縮を実現していることがわかる。
図3 TOPsolid導入前後の生産性の比較

13. ものづくりを考えた3次元ソリッドCADシステム「TOPsolid」

TOPsolidは「ものづくりを考えたCADシステム」と言われる。その理由は以下の4つである。

  • 2次元と3次元が完全に融合
  • 1つのファイルで多部品の設計
  • 設計の自由度を高めるパラメータ、フィーチャ、拘束の柔軟な組み合わせ
  • CADデータが下流工程の金型設計やCAMでそのまま利用できる「プロセス」という考え方

これらにより、TOPsolidを活用した多くのユーザーは3次元CADによる真の生産性向上を実現している。

つまり、設計品質の向上による製品開発全体のリードタイムを短縮しているのである。逆に言えば、この4つの特長がなければ、設計者は思考を妨げずにスムーズに構想設計から詳細設計、図面作成までの作業を完結できないのである。次回はこれらの特徴について詳しく述べる。

この記事は、工業調査会の『機械と工具』 2010年7月号に掲載されました。


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