CAD/CAMは経営のツール
〜データの一気通貫でものづくりを変える〜

コダマコーポレーション株式会社 代表取締役 社長小玉 博幸

14. 2次元と3次元の完全な融合

TOPsolidは、2次元と3次元を完全に融合させた3次元ソリッドCADシステムである。ワイヤフレーム、サーフェス、ソリッド、シートメタルの組み合わせで3次元空間上に設計者のイメージを自由にモデリングできる。

その機能と自由度の高さは、初めて3次元CADを利用する方からこれまでの3次元CADに満足できなかった方まで、すべての設計者の設計効率を向上させる。
さらに、3次元モデルから作成された2次元図面が双方向でのリンクを保つ(図1)。
図1 2次元と3次元双方向のリンクを保ったTOPsolidシリーズ
3次元モデルを変更すれば、ただちに2次元図面に反映される。2次元と3次元のCADを別々で運用しているとこのようなメリットは得られない。TOPsolidシリーズでは設計変更が起きた際に、図面が直っていないことで生じる手戻りを完全に防ぐことができるのだ。

これで、製造担当者は図面に間違いがないかをチェックする必要がなくなる。さらに、3次元に融合された強力な2次元設計製図機能を搭載しており、3次元CADと2次元CADを併用せずに図面を効率的に作成できる。

15. 設計の自由度を高めるパラメータ、フィーチャ、プロファイル、
拘束の柔軟な組み合わせ

TOPsolidシリーズには、パラメータ、フィーチャ、プロファイル、拘束条件の取り扱いについて複数のデザインモードが用意されている(表1)。
表1 設計者が使い分けられるデザインモード
たとえば、ベーシックカーブモードではソリッドやサーフェスの基となる輪郭や曲線は2次元CADのように自由に描き、3次元にしてからパラメータやヒストリーが定義される。
つまり、設計対象や設計手法に応じて柔軟に使い分けができるのだ。「TOPsolidはパラメトリックですか、ノンパラメトリックですか」、また「ヒストリーですか、ノンヒストリーですか」とご質問いただくことがあるが、TOPsolidはすべてに対応しているため、設計者の選択に応じて自由に設計を進めることができる。そのため、設計者が思考を妨げずにスムーズに設計を進めることができる。

16. 1つのファイルに多部品の設計

TOPsolidは、一般的な3次元CADが部品ごとにファイルを作成しなければならないのに対し、一つのファイルに無制限に部品を作成できる。これにより、隣接する部品を参照しながら機構設計を効率よく進めることができるのだ。

具体的に説明する。通常、3次元CADでアセンブリ設計を行なうには、まずアセンブリ構造を定義し、部品ファイルを作成し、それぞれの拘束条件を定義するのが一般的である。しかし、TOPsolidシリーズではこれらの手続を省いて、一つのファイルで複数の部品を作成しながら機構・組立設計を行なうことができるのだ。これは、機械、装置などの構想設計において非常に重要なテクノロジーだ。
構想設計の段階では、一つのファイルで部品を自由に配置し、詳細設計に移る際に部品ファイルに展開することでトップダウン設計を容易に行なうことができる。

17. CADデータが金型設計やCAMでそのまま利用できる「プロセス」

TOPsolidで作成した穴には、穴径や加工深さのほか、加工精度なども定義されている。そのため、CAMシステム TOPcamにデータを渡すだけで、穴の情報が認識され、ツールパス、NCデータを自動作成できるのだ。

これにより、加工側の負担を軽くし、加工ミスを防止する。TOPsolidシリーズではこの仕組みを「プロセス」と呼んでいる。この「プロセス」により、TOPsolidでは部品を配置するだけで穴も自動作成される(図2)。
図2 部品に必要な穴を自動作成するプロセス:部品の移動、変更も自動で反映される
その穴は、TOPcamでツールパス、NCデータを自動で作成できる。さらに、設計変更があっても各アプリケーションのデータにはリンクが保たれ、3次元モデルを変更すれば2次元図面、ツールパス、NCデータが変更される。

このように、TOPsolidは設計だけといった局所的な効率化ではなく、ものづくり全体を捉え、真のコンカレント・エンジニアリング環境を実現し、全体を効率化するシステムとして開発されているからこそ、「ものづくりを考えたCADシステム」と言われるのだ。

18. 3次元設計の効率化 - まとめ

TOPsolidを使った65歳のエンジニアの方が「もう二度と2次元CADには戻りたくない」としみじみ話された。この言葉は、私が30年前にドラフターから2次元CADに移行されたエンジニアの方から聞いた「二度とドラフターには戻りたくない」と同じである。

確かに、2次元CADと3次元CADとの併用では設計作業の効率は上がらない。ぜひ、TOPsolidを使った3次元CADに挑戦していただきたい。「TOPsolidによるフル3次元設計の実現で設計業務での手戻りのない設計の実現」を体感していただきたいのだ。先にも述べたが、「TOPsolidを使うと設計変更が発生しても設計を一からやり直す必要はない(図3)。
図3 アセンブリモデルとリンクした組立図、部品図、部品表が手戻りをなくす
何千点の部品からなる装置でも、変更前の製品モデルを取り出して設計要件に従って変更個所を修正するだけで、関連の組立図、部品図、部品表は瞬時に変更される」世界を体感していただきたいのだ。

ここで、年配のエンジニアの方にお願いがある。ぜひ、若いエンジニアの方に3次元CADを使った設計に挑戦させてあげてほしい。中国をはじめ新興国の若者は3次元CADを使って設計業務をスタートさせたのだ。日本の多くの若者が経験した2次元CADの図面の世界など知らないのである。しかし、日本の若者は今後永い間これらの新興国の人達と競って仕事をすることになるのだから。

19. 多くのプラスチック金型メーカーでのCAD/CAMの実状

多くの金型メーカーは1990年代中ごろから曲面形状の加工に3次元CAD/CAMを導入してきた。そして、製品設計で3次元CAD導入の普及が始まった2000年ごろを期に、プラスチック金型設計向けの3次元CADも多数発売された。それ以来、多くの金型メーカーはプラスチック金型設計の3次元化に取り組んできた。

しかし、3次元CADの金型用の機能が十分でないために、ほとんどの企業では入れ子の設計までしか行なわず、金型の構造については依然として2次元CADで設計をしているのが実情である。そのために「金型設計は3次元では完結せず、2次元の併用が不可欠」という意見が一般的である。

20. TOPmoldを活用したプラスチック金型設計、製造の効率化

当社では、1998年に3次元ソリッドプラスチック金型設計支援システム「TOPmold」を発売した。TOPmoldは、成形品の3次元CADデータを活用して、射出成形、ブロー成形、ダイカストなどの金型を設計する金型設計支援システムである。成形品設計、キャビティ・コア設計、金型構造設計のすべてを3次元で行ない、部品図や部品表は3次元データから自動で作成される。

成形品モデル、金型の3次元モデル、2次元の金型組立図、部品図は相互に連動し、作業ミスの防止、設計工数の削減に貢献する。これまでの3次元CADシステムでは実現しえなかった機能とパフォーマンスでプラスチック金型のフル3次元化を実現できると好評を得ている。

TOPmoldは発売から10年目を迎え、多くの金型メーカー様に利用されている。特に関東、甲信越、東海地方では大多数の大手・中堅の金型メーカー様でTOPmoldをお使いいただいている状況になった。また、そのほかの地域においても有力企業での導入が進んでいる。現在では、TOPmoldはプラスチック金型業界でナンバー1の地位を確保できたと自負している。

21. TOPmoldを「CAD/CAMは経営のツール」として
活用できた会社とできなかった会社

多くの金型メーカー様を見てきて思うことは、工作機械や、加工方法によって異なるCAD/CAMシステムを使用し、特定の人しかシステムを使いこなせず、その人が休めば機械を稼働できない、という個人に依存した会社がいかに多いかということだ。このような経営では常にリスクを伴う。

しかし、このような経営的な問題も誰もがすべてのシステムを使いこなし、機械を稼働できるような体制になれば解決できる。つまり、受け入れるCADデータの種類によって、工作機械によって、加工方法によって散在するCAD/CAMシステムを整理統合し、作業の標準化を行なうのだ。これにより、データ変換も必要なくなり、設計変更が発生しても手戻りがない。また、見落としがちなのがシステムを導入するだけでは効率化はできないことだ。

システムも道具にすぎない。道具は人が徹底的に使いこなし、活用してこそ活きるものなのだ。私どものユーザー様でもその違いは大きく出ている。あるA社様はシステムの運用は担当者任せ、導入して8年経つが導入当初考えていた程の効果は十分に出ていなかった。一方で、B社様は導入当社より経営者が積極的に当社のコンサルティング、サポートサービスを活用し、導入から約2年で金型のリードタイムが半分になった。

この2社の経営者がある金型技術の勉強会で、自社のシステム運用について話した時にA社の経営者は愕然としたのだった。同じシステムを導入したのに自社だけ効果が出ていない。これは「CAD/CAMは経営のツール」と考え、経営者みずからが真剣になって活用したかどうかの結果なのだ。
TOPsolidシリーズはお客様の金型設計、製造を必ず効率化できると信じている。しかし、それを使う人が変わらなければ、いかにすばらしいシステムを導入しても何も変わらないのだ。システムを導入したときが始まりなのである。しかし、多くのお客様がそこのところを理解していないのだ。

22. プラスチック金型メーカーでのTOPmold、TOPcamを
活用した設計、製造の効率化の事例

前項でTOPmoldを「CAD/CAMは経営のツール」として活用できた会社の話をしたが、ここではこの会社に私どもが行なったコンサルテーションの事例をご紹介する(図4)。
図4 プラスチック金型メーカーでのコンサルティング例
私どもがコンサルテーションを始めたとき、この会社では工作機械や加工方法によって異なるCAD/CAMシステムを使用し、特定の人しかシステムを使いこなせず、その人が休めば機械を稼働できないという個人に依存した会社であった。設計部門と製造部の人員は合計43名であった。私どもがコンサルテーションを実施し、TOPsolidシリーズを導入していただいて5年が経過するが、今では43名だった人員は34名となった。

大幅な人員削減が実現し、大きな経営的な成果をあげることができたが、一朝一夕で達成されたものではない。経営者を先頭に現状の抱える問題を分析し、工具の共通化や加工方法の標準化に取り組み、日夜改善を重ねることで達成された。設計の可視化で若い技術者の早期育成が実現し、パートでもNCデータの作成ができるようになり、ものづくりそのものが変わってしまったのだ。

23. TOPmoldを使った設計変更時の自動修正

TOPsolidシリーズでは、製品モデルや金型モデルを変更した場合、組図、部品図、CAMのツールパス、NCデータを自動で修正できる。これは、先に述べたアプリケーションのデータベースが統一されていることによる大きな恩恵である。動画は、外形の直線部分を円弧に変更する前後の画面である。


動画 TOPsolidシリーズでの設計変更

製品モデル(上段中央)が変更されれば、2次元図面(上段右)と金型モデルと図面(下段)、そしてツールパス(上段左)が瞬時に自動修正される。金型のランナー部分も外形の変更とともに延長される。
これを見て、「夢のようなシステム」と言う方も多い。

24. TOPmoldを使った2次元図面作成の効率化

TOPsolidでは、3次元モデルと2次元図面が連動している。このことは、TOPmoldを使って金型設計を行なう場合も同様である。3次元モデルを変更すれば、2次元図面の投影図だけでなく、寸法も修正される。

しかし、3次元モデルから数十点の金型部品図を作成するのは負担となる。そこで開発されたのが、2次元図面自動作成システム「AutoDraw」である。部品サイズから用紙サイズやレイアウトを自動判別し、金型構造図面、部品図を自動作成する。図面枠やレイアウトなどは自由にカスタマイズ可能で、製図にかかわる単純作業を自動化することで、設計者はより高度でクリエイティブな作業に専念できる。

25. TOPcamとの連携で加工の効率化

TOPmoldで利用するすべてのモールド部品には、加工に必要な座ぐり穴やドリル穴、はめあい公差が定義されており、それをもとにTOPcamではNCデータを自動作成できる。
部品の規格を変更した場合、穴の径や深さは自動で変更される。

部品の位置を移動すれば、穴も追随する。NCデータを作成した後に設計変更が発生した場合であっても、TOPsolidシリーズであれば成形品モデル、金型構造モデル、金型構造図面、部品表、部品図、ツールパス、NCデータのすべてが自動で修正されるため、修正漏れや修正ミスを防止し、手戻りを最小限に抑えることができる。
これこそが、「手戻りのないものづくりの実現」なのである。

26. プラスチック金型設計、製造の効率化のまとめ

先に「金型設計は3次元では完結せず、2次元の併用が不可欠」という意見が一般的であると書いた。TOPmoldが日本国内で発売されてから10年が過ぎた。

日本の金型メーカーからの要望も多く盛り込まれ、システムの完成度も高まった。フランス流に言うとTOPmoldは「ビューティフルな製品」に仕上がったのだ。私どもの得意先はTOPmoldを使うことで、成形品設計、キャビティ・コア設計、金型構造設計のすべてを3次元で行ない、金型の設計時間を大幅に削減している。

その上、TOPcamとの連動でデータの一気通貫を実現し、金型の製作時間を大幅に短縮している。また、ベテランに新たなシステムの習得を強いるのではなく、若手のエンジニアに操作を覚えさせ、熟練設計者が傍らで金型設計を指示している金型メーカーも多く見られる。
金型設計の効率化だけなく、技術の継承と若者育成のために活用しているユーザーも少なくないのだ。まさに、道具は使いようである。わが国が世界に誇る金型技術をさらに高め、存続させるための道具としてTOPmoldをぜひご活用いただきたい。

この記事は、工業調査会の『機械と工具』 2010年7月号に掲載されました。


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