CAD/CAMは経営のツール
〜データの一気通貫でものづくりを変える〜

コダマコーポレーション株式会社 代表取締役 社長小玉 博幸

27. 多くのプレス金型メーカーでのCAD/CAMの実状

自動車関連の大物プレス金型での3次元化は進んでいるが、それ以外のプレス金型、特に順送プレス金型では大半が2次元のままである。3次元化している企業もあるが、その多くがカスタマイズした自動化システムを利用している。その理由として、プレス金型のすべてを3次元で設計できる汎用のCAD/CAMがないことが挙げられる。

一方では「プラスチック金型の3次元設計が進んだ以上、『プレス金型は別』と言ってはいられない」と、プレス金型の設計・製作の3次元化に着手する企業も増えてきている。

しかし、ほとんどの企業において、生産性が上がっているとはいえない。3次元化してもモデリングに時間がかかり、従来の2次元の設計時間より時間が増えるため、2次元CADを併用することになる。併用であれば、使いやすい2次元CADを多く利用する。そのため、3次元化に取り組んだ多くの企業が「プレス金型は2次元のままでいい。3次元化する必要がない」と考えている。

28. TOPprogressによるプレス金型設計・製造の効率化

ここでまた、遠藤氏の「データの一気通貫」という考え方を思い出して欲しい。つまり、2次元から3次元に移行する際も、2次元と同じ運用方法を3次元に適応するのでは意味がないことに気づいて頂きたい。

前提となるのが金型の設計が3次元で完結することだ。その点TOPprogressは、プラスチック金型用CADのTOPmold の技術とノウハウをベースに開発されたプレス金型設計支援システムである(図1)。
図1 順送プレス金型設計支援システム「TOPprogress」
製品モデル設計、板金展開、ブランクレイアウト設計、ストリップレイアウト設計(図2)、型構造設計、部品図設計と金型設計のすべてのステージに対応している。中でもレイアウト設計では3次元CADでありながらカットパンチの刃先形状を2次元で作図すればよく、ユーザー様からは2次元CADの感覚で楽に設計できると好評を得ている。

さらに、3次元と2次元の融合により、3次元製品モデル、ブランクレイアウトモデル、ストリップレイアウト、型構造モデルと2次元の組立図、部品図が相互に連動するため、修正漏れや修正ミスは発生し得ない。これは設計変更が生じても瞬時に対応できることを意味する。このようにプレス金型のすべてを3次元で設計でき、手戻りのないものづくりを実現できるのはTOPprogressだけといっても過言ではない。
図2 TOPprogressで設計したコネクタ端子の金型

29. TOPprogressで「CAD/CAMは経営のツール」を具現化したT社

当社のユーザーの中でも、経営者みずからが3次元化のメリットを考えて、TOPprogressを導入し、生産性を向上している企業がある。ここで、その企業の事例をご紹介したい。

精密プレス金型設計製作の老舗と言われるT社は、順送プレス金型の設計から製造までを行っている。3次元CADを検討している際に、当社のTOPprogressに出会い、ご評価いただいた。導入に当たりT社の社長から「プレス金型は2次元のままでいい。3次元化する必要がないという意見を多く耳にするが、TOPprogressで大丈夫ですか?」「そこまで大丈夫と言われるのなら、3か月での立ち上げを保証してほしい」と言われた。

私には自信があった。そこで、私は「私どものコンサルティング、サポートをフル活用していただけるのであれば、4か月での立ち上げを保証しましょう」と即答した。なぜ、そう自信を持って言えたか。

その理由は3つある。

  • 当社が20年以上の間に、1,000社以上もの金型メーカーのコンサルティングしてきた経験があること。
  • システムを立ち上げるためのサポートに絶対の自信をもっていること。
  • 経営者が真剣にCAD/CAMの選定から立ち上げまでに取り組んでいること。

それから間もなく、設計の3次元化を実現するために3台のTOPprogressが導入され、社長室の一角に置かれた。

T社の主工場は福島県のいわき市だが、社長室のある本社は神奈川県にある。わざわざ設計者を本社まで呼び寄せて、徹底的に教育を行った。

週2回のコンサルティング、当社での教育セミナー、コンサルティングやセミナーでの実施内容を定着するためのリモートサポートによる徹底したフォローなど、社長指揮のもと当社と一丸となって実施された。

4か月後、総括のためT社を訪問した。その際に社長から思わぬ言葉をいただいた。
「小玉さん、奇跡が起きましたよ」。
社長曰く、社内でさまざまな奇跡が起きたという。

まず一つめに、金型の作成が1回で完結したというのだ。2次元設計時には、図面のミスなどにより多くの手戻りが発生し、1回で完結することはなかったという。 それが1回で完結しただけで奇跡だった。それだけでなく、社内でもっとも図面のミスが多く、手戻りが多く発生していた担当者の作成した金型のデータでうまくいったというのだ。これは、2次元と3次元の完全な連携(図3)、CADとCAMでの「データの一気通貫」を実現できたからこそできたのだ。
図3 TOPprogressの2次元CAD機能で作成した図面
二つめには、予想外の効果があったという。
通常、システムの導入における効果というのは、設計工数が短縮しただとか、無駄な待ち時間がなくなったとか、QCDに関するものがほとんどなのだが、T社ではTOPprogressを導入したことで、社員のモチベーションが上がり、コミュニケーションが活発になったという。

3次元による可視化で、ベテランと新人のコミュニケーションが促進され、新人の育成など社内教育もうまくいくようになった。さらには、設計部門だけでなく、加工部門からも「3次元でやりたい」「CADを使ってみたい」という自発的な声が出てきたという。このような効果が相まって、当初3台導入したTOPprogressも今では12台となっている。

T社の社長はこう話す。「TOPprogressを導入したことで、ものづくりが変わっただけでなく、会社が変わった」。そう、T社ではTOPprogressを導入したことで革命が起きたのだ。これこそが、私どもの考える「CAD/CAMは経営のツール」の体現である。T社こそそれを具現化した企業なのだ。

30. ユーザーサイドに立った導入立ち上げコンサルテーション

当社では、導入していただいたシステムの短期間での立ち上げのために、個別のコンサルティングを提供している。これは、導入企業の実際の金型設計・製作を当社の技術者と共同で進めてもらい、その過程で企業にあった設計手法を確立してゆくというものである。

T社が4か月という短期間でシステムを立ち上げられたのも、このコンサルティングによるものだと考えている。T社で起きたような革命は決して奇跡ではない。どのような企業でも、経営者が真剣にCAD/CAMの選定から立ち上げに取り組めば実現できるのである。たとえば次の事例をご覧いただきたい。
このユーザーは、TOPprogressの導入前は29名で金型の設計から製造までを行なっていた。ところが、TOPprogressを導入したことで15名に減ったのだ(図4)。
図4 プレス金型メーカーでのコンサルティング例
データ変換をなくし、手戻りのないものづくりを実現し、ミスや無駄を排除する。つまり「データの一気通貫」を実現するだけで、これほどの人員を減らせるのだ。担当者に依存しないシステム運用と人員配置の最適化を実現できるのもTOPsolidシリーズだけなのだ。次の項では、TOPprogressのいくつかの特徴的な機能をご紹介する。

31. 2次元CADと同じ感覚でのレイアウト設計

TOPprogressでレイアウト設計をする際には、まず2次元ステージ上で2次元CADと同じ操作感覚で、自動展開したブランク形状の輪郭と補助線を利用してカットパンチの刃先形状を作図する。

次に、この作成した刃先形状を3次元ステージで利用してストリップレイアウトを作成するのである。この手順を踏むことで、自動的にストリップレイアウトに穴があき、実際に材料を打ち抜いているようにストリップレイアウトができあがっていく。曲げ工程も同様で、複雑な曲げでも実物を曲げているがごとくストリップレイアウトが完成する。
TOPprogressを使うことで簡単に間違いのないレイアウト設計ができるようになった設計者は、口々に「2次元設計には戻れない」と言う。

32. プレス金型設計に特化した多彩な機能

TOPprogressには、パンチやダイの設計を簡単にする多くの機能が備わっている。スプリングバックを考慮したパンチやダイの作成機能、パンチの切り上げ形状を作成する機能、コーナRを維持したままオフセットする機能、深絞り形状作成機能、開閉アニメーション機能などプレス金型設計に特化した機能を提供している。

これらの機能は、日本のユーザーから寄せられたリクエストをフランスの開発元に依頼して開発させたものである。TOPprogressは、着実に成長してきた。今後もさらに進化を続けていく。

33. TOPcamやTOPwireとの連携

TOPprogressで利用するすべての金型部品には、加工に必要な座ぐり穴やドリル穴、はめあい公差が定義されており、TOPcamによるNCデータの自動作成が可能である。

部品の規格を変更した場合、穴の径や深さは自動で変更される。部品の位置を移動すれば、穴も追随する。NCデータを作成した後に設計変更が発生した場合でも、TOPsolidシリーズであれば、製品モデル、金型構造モデル、金型構造図面、部品表、部品図、ツールパス、NCデータのすべてが自動で修正されるため、修正漏れや修正ミスを防止し、手戻りを最小限に抑える(図5、6参照)。
図5 TOPprogressと連携するワイヤCAMシステム「TOPwire」
図6 ストリップレイアウトの追加でワイヤパスを自動修正

34. プレス金型設計、製造の効率化まとめ

今でも、「プレス金型設計は2次元CADで十分。 3次元CADでは効率化は望めない」と多くのお客様が私どもの営業担当に話をされる。一方で、29項でご紹介したT社に代表されるように、私どもの得意先ではTOPprogressを活用することで「ものづくりが変わっただけでなく、会社が変わった」と言われる得意先も多く見られる。

多くの皆様は今までに3次元CADを検討、導入されていることと思うが、私どもはそれらのシステムではすべての設計業務を完結できなかったのではないかと考えている。ぜひ、私どものTOPprogressをご検討いただきたい。3次元設計の実現でものづくりを変えていただきたいのだ。

近年、日本ではプレス技術の向上で複雑な加工を行えるようになったことで、従来樹脂で作成していたデジカメの筐体に代表されるような部品のコストダウンや品質・強度向上のために、精密プレス部品に転換する動きがある。このような精密プレス部品への対応も3次元CADが威力を発揮する。

確かに、経済が好転しない状況下で新たな投資はできないかもしれない。しかし、今こそ3次元化するチャンスだと私は思う。システムの立ち上げにかける時間を確保できる今の時期に力を蓄えたいと考えてTOPprogressを導入される企業も少なくない。

この記事は、工業調査会の『機械と工具』 2010年7月号に掲載されました。


資料請求

TopSolid 7シリーズ

TOPsolid v6シリーズ

セミナー情報

展示会 出展情報

なぜTopSolidか CAD/CAMは経営のツール 試作部・加工技術研究所 採用情報 導入事例 導入のチャンス
Copyright © KODAMA Corporation Ltd. All rights reserved.